格安SIMのメリットとデメリット
格安スマホの「格安」とは基本料金と端末の安さ
格安SIMや格安スマホという言葉の認知度が上がるにつれ、利用者がどんどん増えています。おそらく、今使っていない人の中には「キャリアの解約料が気になる」というひとも多くいることが予想されるため、格安SIMを導入したい人は意外と多いのではないでしょうか?
格安SIMというのはdocomo・au・SoftBankと比較された概念で、プランごとの基本料金が非常に安いスマホ会社のことを言います。そのため、格安スマホもほぼ同じ意味となります。さらに、Y!mobileを除く格安SIMの会社は自社の通信設備を持たないことからMVNO(仮想移動体通信事業者)を呼ばれています。
そのため、3大キャリアの内のいずれかが通信回線を貸し出しています。格安SIMの基本料金が大手キャリアと比較して安いのは、このような理由があります。まず賃料はかかるものの先行投資を必要としないこと、次に店舗を必要最小限にして運営コストを下げること、そして大規模なキャンペーンや余計なサービスをカットしたことなどがあります。
特に大手キャリアと比較して分かるのが、プランよりもオプションの充実度です。大手キャリアでは無料になっていたことが有料になっています。また、無料通話分も最小限で、端末の割引も少ないです。
安いということは利用者の負担が増える?
そのぶん、プランごとの料金が半額以上に安くしかも音声通話SIMであっても半年から1年の利用継続があれば解約料を支払わなくてよいです。大手キャリアが2年しばり・自動更新で消費者の頭を悩ませたことに比べればはるかに良心的です。しかもデータSIMの契約であれば初月に解約しても解約金は全くかかりません。
よって、格安SIMがおすすめなのはスマホの基礎設定が自分でできる、あるいは身近な人に手伝ってもらえる人と言えます。この条件さえクリアできればスマホ代をもっと有意義なことに使えます。端末によっては余計なプリインストールアプリも入っていないことがあります。
もし、本当にわからなくなったときはMVNOのカスタマーセンターに連絡することやメールすることはできますが、電話でも10分ほど通信が込み合うことが考えられます。この点も格安SIMのデメリットと言えます。
格安SIMの問題は、通信速度と互換性?
格安SIMは通信速度が遅いと言われる理由
格安SIMの問題と言えば「アフターサービスが不満」「思った以上にお金がかかった」という他に「通信速度が遅い」ということがあります。まず、アフターサービスの不満は上記のとおりスマホ入門者にありがちです。つぎに、思ったよりお金がかかった人の原因は「通話・SMSのし過ぎ」です。
格安SIMはSMSが有料で、電話代も大手キャリアの倍近くします。具体的には30秒で20円かかるので、無料通話分があった時のように長話は控えましょう。どうしてもたくさん電話したいという場合はLINEなどの無料通話アプリを使うことで解決できます。
そして、通信速度が遅いのは「回線保有量が不十分」ということが理由です。各MVNOは大手キャリア(個人向けにはdocomoとau)の回線を使っているため通信品質やエリアは同じでなくてはおかしいです。しかし、みんなが一斉に通信をするとどんな回線でも混雑してしまいます。だから、たとえ光回線であっても時間帯によって通信速度の差が出てしまうわけです。
MVNOの場合は大手キャリアの回線を少なく借りた方が安上がりです。そこに、想定以上の利用者が申込むと回線が混雑するリスクが上がるわけです。実は大手キャリアですら最大の通信速度に程遠い現状ですが、格安SIMはそれよりも遅くなります。それでも混雑する日中を除けば問題なく動画視聴もできるスピードです。
SIMフリーでも自由にSIMを使えないってなんで?
そして、格安SIM最大の盲点は「端末とSIMの互換性」です。大手キャリアがSIMロックというものをかけているせいで他社に乗り換えられないという話もありましたが、現在はSIMロックの解除は可能で、かつ同社の回線であればMVNOへの乗り換えにSIMロック解除は不要です。それ以上に根深い問題がありました。
今の通信と言えばどこの会社もLTEを使っています。LTEとは3G通信よりも優れた高速通信ですが、今も音声通話の時だけ3G通信に切り替わる仕様となっています。auだけが異なる3Gの通信方式を使っているためせっかくSIMロックのないスマホで乗り換えたのに音声通話ができないという結果になります。
これでは携帯電話として本末転倒です。また、docomoとSoftBankであっても周波数帯の問題で確実な互換性を持つわけではありません。だから、格安スマホを選ぶときはSIMが使えるかどうかを事前に確かめるのです。
VoLTEはMVNOの懸け橋となるのか?
VoLTEを使えば3Gはいらない
この「通話だけ3G」という状況を解決する技術がVoLTEです。これは音声通話にもLTE回線を使う技術で通話画面を出さずに電話を続けられるシンクコールができたり通話品質が上がったりと色々な良いことがありました。VoLTEを利用するにはVoLTEに対応したスマホの購入が必要なほか、auの場合はVoLTE専用のSIMカードも使わなくてはいけません。
VoLTEが導入された今なら3Gの通信方式で格安SIMの選択肢を狭めずに済むように思います。しかし、色々とめんどくさいところがあります。
なのに、VoLTEの互換性はめんどくさい
結論から言えばVoLTE対応端末での互換性は「あったりなかったり」します。つまりVoLTEが導入されたからと言ってdocomoとauが完全互換になったわけではないようです。実はVoLTEには通信方式以外にもキャリアごとの設定があり、それが理由で音声通話が使えないこともあります。そのため、VoLTE対応端末を見る時にもどの程度の互換性を持つのかを事前確認しましょう。
また、auのVoLTE対応端末はなぜかau系の格安SIMに対してもSIMロックを発動するため、auでVoLTE対応SIMを使った場合はSIMロックの解除が必要になります。SIMロックを解除できれば問題なく使えます。auは中古で購入した場合も本人以外のSIMロック解除を認めているのでここは安心です。
格安SIMはdocomo系MVNOから選んだ方が無難?
docomoの回線を使うMVNOが多い理由
格安SIMは現在docomo系が圧倒的に多いですが、これはdocomoが優れているわけではありません。MVNOに回線を貸し出すときに3大キャリアの中で最も安い値段で提供したからです。それでも、au系のMVNOはまだ数種類しかないのに対してdocomo系の格安SIMは20を超えるため格安SIM間での乗り換えも視野に入れれば当分の間はdocomo系のMVNOを選んだ方が無難と言えます。
auもこれからに期待
ただ、今までdocomo系が多かったのですがau系の格安SIMも着実に増えています。あくまでスタートはdocomoが多かったにすぎないためこれからはau系の格安SIMやdocomoとauのどちらにも対応したMVNOが増えていくでしょう。ちなみに、SoftBankもそろそろ個人向けの回線貸し出しを始めるようです。